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緊急整備記録
平成17年9月初旬のある日、一本の電話がありました。
東京都内のビルメンテナンス業F社様からでした。

『非常用発電機が壊れたので、見積りをお願いできないか?』

詳しく話を伺いました。
エンドユーザーは23区内の学校法人様。
ちなみに、お客様インタビューの文化学園様ではありません。
別の学校法人様です。

非常用発電機のエンジンが壊れたらしく、ある整備業者から見積りを取った。

その見積が高いのか?安いのか?
さっぱり判らない。

そんな話を学校法人様から聞いたF社のご担当者が弊社を探し当てて
取りあえず電話をかけた、との事でした。

詳しく現状などをお聞きしました。
想定される交換部品や整備箇所、我々の考えをまとめた提案資料と一緒に御見積書を提出しました。
その時の提案資料がこちら↓です。

セミオーバーホール提案資料 ←これが実際に提出した提案書の抜粋です。
 ポイントはエアクーラーと呼ばれる補機の
 整備減額提案です。

オーバホールのお見積りをする際には、この様な提案書を付けるケースが多いのですが
今回のポイントはエアクーラーと呼ばれる補機の整備方法についてです。

実は、見積依頼頂いた時から疑問に思っていました。
エンジン補機の一つである、エアクーラーがアセンブリ交換となっていたからです。

それまでも数え切れないほど多くのエンジンをオーバホールしてきましたが
エアクーラーをアセンブリにて交換した事は、過去に一度もありません。
分解してコアと呼ばれる部品を整備するのが一般的です。
アセンブリ交換に比べ、費用も1/2〜1/3程度ですみます。
もちろんケースバイケースなので絶対とは言い切れません。

正直に我々の考えをお伝えしました。

お見積り提案してから1ヶ月程たった11月のある日。
F社様から電話がありました。

『オーバーホール整備をお願いする事になりそうです。
 専門家としての意見をもっと詳しく聞きたいので、現地調査も兼ねて打ち合わせしたい。』

正直、無理だろうとあきらめていたので、驚きました。
理由を聞くと、提案書に記載のあったエアクーラー、減額できる提案が効いたとの事。
非常に嬉しい瞬間でした。
やはり我々の整備方針は間違っていなかった!と確信できました。


平成17年11月10日。
エンジンの状況を確認するため、現地へ赴きました。
オーバーホールの方向性や作業期間など、全体計画を学校のご担当者様を交えて説明しました。
そしてエレベーターで地下2階の発電機室へ。
エンジンを前にしながら、作業方法などや整備箇所の説明をしました。
着々と進むかに思えたのですが...

発電機室も整理整頓されて、隅々まできちんと片付けられています。
発電機もキレイで、外観からは内部が壊れている事が判らないほどです。

整備箇所や作業方法など、エンジンを目の前にして具体的に説明します。
実機を前にすると、分かりやすいため、話がスムーズに進みます。

事前に確認しなければならないポイントも把握でき、打ち合わせも終わろうとしていた時です。

エンジンオイルを確認するために検油棒を抜きました。
別に理由なんてありません。
言うなれば、エンジン屋のクセです。

検油口から勢いよく水があふれ出しました。
あわてて、検油棒を元にもどしました。

我々はもちろんの事、その場にいた誰一人として予想していない事態です。
通常では、絶対にあり得ません。

オイルが入っていなければならないオイルパンに水が入っているのです。
しかも、あふれ出すほどの多量の水...

オイル系統と冷却水系統が混ざってしまっている事は明らかです。
しかし外部からは特定できません。
残るはエンジン内部しかありません。
万一、シリンダブロックにクラックが入っているのであれば、エンジンそのものを交換しなければなりません。

何にせよ、先ずは原因の調査が必要です。
これまでの整備方針を全て白紙に戻し、急遽、故障箇所の特定から始めます。
とは言うものの、エンジン内部を隅々まで細かく調べる事はできません。
クラックであればなおさらです。

エンジン内部に溜まっていた水が入ったオイル
通常オイルは黒色ですが、水分が混ざると写真の様に白く濁ります。
エンジンから出てきた水入りオイル180リットル。
正常であれば50リットルに対して、2倍以上の水が混入していました。

こういう時こそエンジン屋の真価が問われます。
過去に起こったトラブルやエンジンのクセ、知識とノウハウを総動員して推理します。
今回のケース、ある方法なら漏洩箇所が把握できるハズです。

その結果...

見事、原因を突き止めることができました。
漏洩箇所はウォーターポンプ。
ウォーターヒーターの過熱が原因である事も判明しました。

エンジン内部オイルパン内の漏洩箇所。
写真中央、透明な筋状に漏れている水が写っています。
故障箇所が判れば、後はもう一度整備計画を立て直すだけです。
水が混ざってしまったことによる将来的なダメージも予測して、整備を行いました。

現地の状況を確認せず、当初の計画通り作業を始めていれば、多くのムダな費用と時間が発生していたハズです。
自分達の目で実際に確かめて、各エンジンに一番あった整備方法をご提案する事が、我々プロの仕事だと思います。


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