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エンジン・エンジン発電機の世界では、専門用語が多く使われます。
その中でも特に、電話・メールでのやりとりでよく使う言葉をご説明します。
●イグニッションコイル
スパークプラグに火花を飛ばすために高圧電気を発生させるための部品。
プラグに火がとばない場合、(プラグが正常であれば)イグニッションコイルが原因です。
エンジンが暖まると自然に停まってしまう症状もあります。
経年劣化により、暖まると火花を飛ばす性能が低下する事があります。
フィルタ類ほど頻繁に壊れる訳ではないですが、使用期間に応じて交換する部品です。

●AVR (エーブイアール)
自動電圧調整器。Automatic Voltage Regulaterの略。発電機の電圧を制御する装置。
中型・大型エンジン発電機に使用されています。
小型の発電機では、コストの問題からAVR方式ではなくコンデンサ方式により電圧制御しますが
最近は小型でもAVR方式が採用されている機種もあります。
非常用発電機の場合は、電圧を常に一定に保つ様に制御します。
複数台の発電機を並列して使用する場合や系統と連系して使用する場合は、電圧を制御する事で発電機間の横流や力率を制御します。
系統連系の場合、AVRが故障すると発電電圧が無くなるため、進み電流となり、過電流警報が発報する事があります。

●オーバホール
分解整備。整備度合いに応じてトップ・フル・セミに分かれます。
弊社ではお客様が混乱されない様に、軽整備や軽修理とは区別して使用していますので、点検整備では
オーバホールという言葉は使用しません。
○トップオーバホール
  上部開放点検。上部とは文字通りエンジンの上部であるシリンダヘッドを開放して、シリンダライナ
  ・ピストン上面の点検を行います。
  オーバホールの中では一番軽い整備です。
○フルオーバホール
  総分解整備。クランクシャフトを含む全部品を取り外し、エンジンをバラバラに分解する整備です。
  ターボチャージャ・エアクーラ・ウォータポンプ等の補機も整備または交換します。
○セミオーバホール
  トップとフルの中間に位置する整備です。
  予算と状況に応じて費用と整備箇所が大きく変ります。

●ガバナ
調速器。エンジンの回転速度を制御する装置。
用途に応じてアイソクロナス特性とドループ特性(垂下特性)に分かれます。
非常用発電機等は、アイソクロナス特性により、負荷の大きさに関わらず回転数を常に一定に保つ様に制御します。
小型エンジンや非常用発電機に用いられているメカニカルガバナはアイソクロナス特性です。
複数台の発電機を並列して使用する場合や系統と連系して使用する場合は、ドループ特性により負荷を分担します。
発電機の場合、出力kWに対して目標とする周波数を変えるkWドループが用いられており、定格周波数に
対する垂下分をドループ率と言います。
ドループ率が少ない場合は、100%まで負荷がかけられません。

●キャビテーション
流れている水の中で圧力が急激に下がる事で極小気泡が発生し、気泡が破裂する際に爆発衝撃を生じる事。
エンジンの場合、冷却水が流れるシリンダブロック内部で発生する事が多く、シリンダライナやウォータポンプ等はキャビテーションによりクラックが発生、長期的に破損します。
指の関節を強く曲げると『ポキッ』と鳴るのもキャビテーションです。
水道水を使ってエンジンを冷却する方式の場合、キャビテーションが発生しやすいため、定期的な点検やライナの交換が必要になってきます。
クーラントは文字通り凍結を防ぐと同時にキャビテーション抑制効果があるため、クーラントを使用するラジエータ方式ではさほど問題はありませんが、クーラントが規定濃度以上である事が前提条件です。

●キャブレター
気化器。エンジン部品。小型のエンジンには必ず付いている最も重要な部品。
空気(混合気)の流量を調整する事でエンジン回転を制御します。
『流速の速い気体は圧力が低くなるため、周りの気体・液体を引っ張り込む』というベンチュリ効果により、空気と燃料を混合させます。
空気がキャブレター内部のベンチュリポートを流れる際、カップから吸い上げられた燃料が霧状になることで混合気になります。
混合気の流量をバタフライバルブで調整することでエンジン回転が変わります。
キャブレター内部は燃料通路の細い孔が多いため、小さいゴミが詰まるだけで、エンジンの動きが顕著に変ります。
特にメタルダイキャスト構造の上部は、内部に燃料通路がくり抜かれているため、ゴミが詰まっても取れない場合があります。
この様な場合は洗浄しても症状が改善しないため、アセンブリ毎交換する事になります。
また、キャブレター内部は、常に燃料で満たされているため、長期間使わずに放置しておくと劣化燃料が詰まり、エンジンが始動しなくなります。
振動が大きい機器に搭載されているエンジンではチョークやバタフライバルブ(のシャフト)が磨耗し、エンジンの回転数が勢い良く上がらない(ふけが悪い)、回転が安定しない等の症状も現れます。

●コンプレッション
圧縮圧力。
燃焼室内部で空気がどれほど圧縮されるかの度合いを示します。
ディーゼルエンジンの場合、スパークプラグ等で火花をとばす点火方式ではなく、圧縮される事によって高温となった空気に燃料を噴射して自然着火させます。
そのため、コンプレッションが低い場合は、空気が高温にならず、始動性が低下します。
ガソリンエンジンの場合は、空気ではなく(燃料と空気が混ざった)混合気体になります。
2ストロークエンジンでは、コンプレッションが低下すると始動性の悪化が顕著になります。
逆にコンプレッションが高い場合には、ノッキング等の異常燃焼が発生します。

●kW (キロワット)とkVA (ケーブイエー)
発電機や負荷の電力容量を示す単位。
kWは有効電力。kW=1000×W。
kVAは皮相電力。kW=1000×VA。
発電機などの仕様に記載されている容量(定格容量)はkVAですが、パソコンやモータ等に記載されている容量はkWです。
『発電機の容量が3kVAだから、3kWのモータ機械は使えますか?』と聞かれますが、kVAは使う事ができない電気(無効電力と言います)が含まれているため、発電機を選定する場合は、使う機器の容量(kW)よりも大きい容量の発電機を選定してください。
モータ等であれば発電機の定格容量(kVA)に0.7から0.8を掛けたものが目安になります。
実際にはモータの性能や始動時に流れる大電流(突入電流)を考慮しなければなりません。

●シリンダヘッド
エンジン部品の一つ。燃焼室にフタをするためエンジン上部(トップ)に取り付けられる部品。
そのため、シリンダヘッドを取り外す整備はトップオーバホール(上部開放点検)と呼ばれます。
燃焼時の爆発圧力に耐えるため重く、専用の多層ラミネート構造のガスケット(ヘッドガスケット)と共に
高トルクにて締め付けます。
フタをする以外にも吸排気バルブ、バルブ駆動装置(バルブメカニズム)等が組み込まれている上に、冷却水
と潤滑油の通路が内部に形成されているため、組み立てる際に最も注意する箇所の一つです。

●シリンダライナ
エンジン部品の一つ。ピストンが往復運動するための筒状部品。
ピストンが高速で動くため内部は鏡面研磨されています。
正確に言えば、ピストンリングが摺動しながら、燃焼室とオイル室を隔離しています。
小型エンジンの場合、シリンダ内部を研磨してライナとして使用しているため、ライナ内面が著しく
傷ついた場合、シリンダ本体を交換する事になります。
部品価格・整備工費が高くなるため、新品のエンジンを新しく購入した方がお得、という訳です。
中型・大型エンジンは別部品になっており、シリンダブロックに組み込んであります。
水道水でエンジンを冷却する方式の場合、キャビテーション・エロージョンにて腐食・損傷するため
定期的な点検をお勧めしています。

●絶縁抵抗 (ぜつえんていこう)
機器の絶縁度合いを示す指標。単位はMΩ[メグオーム]。
計測機器(絶縁抵抗計)がメガーと呼ばれる事から、絶縁抵抗そのものをメガーと言う事も多い様です。
発電機・モータなど電気機器や回路の絶縁状態を点検する際に測定します。
定格電圧(使用電圧)に応じて、125V〜1000Vまで測定電圧(印加電圧)が異なります。
絶縁抵抗値が小さいほど、機器の絶縁状態が低下している事を表し、絶縁低下が進行すると地絡(漏電)し
漏電遮断器が動作します。
発電機はもちろん、エンジン本体にも補機が付いているため、特にウォータヒータといった常に水没している機器では、絶縁抵抗の計測が重要になります。

●PTO軸 (ピーティーオーじく)
エンジンの動力取出軸。Power Take-Off軸の略。
エンジンのシリンダブロックから突き出している軸です。
一般的にはエンジンのクランクシャフトですが、ロビンエンジンB型の様に、ギアで減速されたカムシャフト軸になっている場合もあります。
発電機やポンプといった組み合わされる機器によって、ストレートやテーパ等の複数種類があります。

●リコイルスタータ
エンジンを手動で始動させる際の装置。略して『リコイル』と呼びます。
自動車はキースイッチを回すと、セルモータによってエンジンが始動します。
セルモータ式の場合、バッテリが必要となるため、小型エンジンではリコイル式がほとんどです。
内部に板バネを内蔵しており、ヒモ(スタータロープ)を引っ張る事でエンジンを始動させ、バネの力でスタータロープを巻き取る構造になっています。
始動性が低下してくると、何度もロープを引っ張る事になるため、ロープが切れる、スプリング爪が頻繁に壊れる様になります。